100年に一度といわれる不況下において、各企業の教育予算は削られています。何故教育予算が削られるかというと、企業研修の多くは、やりっぱなしで定着のためのフォローが弱く、成果が見えにくいからだと思います。投資に対する効果の見えないものは、真っ先にコスト削減の対象となってしまいます。
アクションラーニング型研修では実際の実務の課題を扱います。現場(OJT)と集合研修(OFF-JT)の連携を強化し、カークパトリック4段階評価のレベル3にあたる行動変容を促す取り組みにコミットした研修が今求められているのだと思います。
インテグラスでは、お客様ごとに完全にカストマイズしてアクションラーニング型の研修を提供しております。
受講者の行動変容を促すことを狙いとし、研修と実務との連動を意識して設計した2事例をご紹介します。
―事例1:A社の事例―
A社で実施したプログラムは、学習するだけではなく、研修やセッションで立てた行動計画を受講者に現場で実践もらうことで、学習効果と実務での成果といった同時に2つ効果を狙ったプログラムです。研修の狙いは以下の4点にありました。
実施期間は、約4か月間。導入研修と最後の総括研修の間に、一回あたり4時間程度の5回のセッションを挟んだ計7回のプログラム構成となっています。最後の総括研修では、成果発表の場として現場の課題解決の提案を統括部長に対して行いました。
導入研修では、チームビルディングを行うことで受講者同士が何でも話し合える雰囲気とチームワークの醸成を行い、その後理想のマネジャーについてディスカッションすることで自身とのギャップを認識。そして最後にこの4か月間で取り組むチームと個人の目標を設定してもらいました。また途中5回のセッションでは、導入研修で設定した個人テーマと現場で抱えている課題を講師が問題解決のためのファシリテーターとして機能することで解決していきました。
受講者の中には、通常行われているような研修を想定して参加した方もいて、当初は実際の仕事、それも自分自身の課題解決を迫られることに戸惑いを見せる方もいました。ただ途中からは、チームメンバーからの働きかけもあり、自らが意志を持って課題解決に取り組んでいくという姿勢へと行動の変容がみらました。また4回目のセッションでは、部門間にまたがる課題解決のため、関連部門に呼びかけ、その部門の責任者にセッションに同席してもらうことで、課題解決のための道筋を見出す場面もありました。
最終的には、当初の狙いはほぼ達成でき、メンバー間の信頼関係も強化され、プログラム終了後も他事業部も巻きこみ、事業部間に介在する課題解決に取り組んでいくといった自主的な活動にもつながりました。
■A社の事例
―事例2:B社の事例―
研修全体の設計としては、2週間程度間隔を空けた全5回コースとし、あえて受講者に負荷が懸かるよう毎回研修で学んだ内容を実業務で活用することを義務付け、次回その成果を確認するというサイクルを回していきました。また毎回講師は、受講者に対して一方的に教えることは極力少なくし、対話の繰り返しによる論点の深まり、視点の広がりがもたらされるようファシリテーションに専念しました。元々モチベーションの高いメンバーを公募で選出したこともあり、学んだことを素直に吸収し現場で実践していったことで、仕事の実成果につながったとの嬉しい報告も少なからずいただきました。また苦手としていた論理的思考や構造的に物事を捉えることも、回を重ねるごとに習慣化される様子が、終了後のアンケート結果や受講者の言動からも確認できました。
上記2事例に留まらず、インテグラスのアクションラーニング型のプログラムは、【集合研修】という一側面だけを手がけるのではなく、課題発見から研修の企画、そして現場への定着まで組織の変革を入り口から出口までトータルでサポートしていくことを基本方針としています。